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2017年6月 8日 (木)

MTブーム

マシントランスレーション(MT)

最低でも原文にあるすべての情報が訳文に含まれるようにならないと、実用レベルとは言えません。原文と照合してポストエディットするようでは人間による翻訳と労力や時間はたいして変わらないから。むしろ原文とMT訳文の2つを見なくてはいけないので、かえってわずらわしい。改訂版の翻訳と同じように、2つ、3つとたくさんの資料を見なくてはならないので労力が半端ではありません。ポストエディットの単価を高くしないと、手抜きする翻訳者が出てきますよ。ボランティアじゃないんだから、単価が安ければ時間をかけてられません。

MTはせいぜい「個人的な文書や製薬会社のごく内輪の社内文書」の翻訳に使われる程度でしょう。こうした文書は元々外注される文書ではないので、製薬会社にMTが導入されても翻訳会社や翻訳者は痛くもかゆくもない。

もし翻訳会社がMTを導入するとすれば、一番問題なのは、MTの内蔵データの管理と更新をどうするか、でしょう。ベースとなる内蔵データが信頼できるものなのかどうかが不安です。MTを導入するとすれば、まずは資金力のある大手の翻訳会社が導入することになるでしょうが、ベースとなる内蔵データを管理・更新できる人材がいるのか? 不良訳文の大量生産にならなければいいけどね。

大手翻訳会社がMT翻訳した訳文は、やがて製薬会社を通じて零細の翻訳会社や個人翻訳者にも参考資料として、あるいは準拠すべき資料として提供されるでしょう。翻訳業界は優秀な人材が大手の会社に限っているわけではなく、零細の翻訳会社や個人翻訳者にも優れた翻訳技能を持った人材がたくさんいます。

そうした優れた翻訳者からMT訳文の不具合が指摘された場合、MT訳文の不具合にだれが対応するのでしょう? クライアントである製薬会社に言えばMTを扱っている会社に連絡が行くの? それともMT訳文の不具合はそのまま放置? 見て見ぬふり?(笑) MT訳文を無視して新規に訳出するの? 新規に訳出したデータはどう取り扱うの? MTの内蔵データを修正しなくていいの?

誰か業界全体にわたって統括する人や組織がないと、MTシステムがぐちゃぐちゃになるような気がします。

このまえのブログにも書いたけど、MTは運用面で課題が山積みです。

今回のMTブームも期待だけでぽしゃらなければいいね。

Mt_2

このグラフの縦軸は何なの? イメージ?

将来はどうなるかはわからないけど、MTが導入されるにしても、今よりも翻訳者の収入が増えるような方向でやってもらいたいです。

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コメント

サクラ 募集中!

MTは40年も前から開発が続けられているのですか?それなら永久に無理な気がします。ただ、Trados同様で分野によっては使用されるかもしれませんね。私は訳あってTrados Studioを使用することがたまにありますが、翻訳資産が統一されていないことは感じます。それぞれの訳文が残されていてどれを使用すればいいのか分からないことも多く、かえって手間がかかる印象でした。また、「翻訳資産」に合わせてクレームになったらたまったものではありません。その点、イートモは成田さんが管理されているので信頼性が高いですね。特に英訳を目指す方は、MTの勉強をする時間と金があるならイートモ購入を即決すべきだと思います。ちなみに皆様に申し上げておきますが、私はサクラじゃありませんよ。その証拠に、何とイートモを持っていないのです。cat

自分で書いた文書をMTにかけて、出来上がった訳文を自分でチェックするのには使えるでしょうね。逆にその程度にしか使えない。もう30年とか40年とかMTの研究開発が続いているけど、いつになったら完成するの?って感じです。いつまでもMTの研究開発で食べていけていいね。MTの恩恵を受けているのはあなた方だけだよ(言い過ぎた?)。

Tradosなどの翻訳支援ツールが登場したときにも、少なくとも医薬系では普及しないだろうと思っていました。翻訳支援ツールで「過去の翻訳資産を活用する」なんて言うと格好いいし、劇的な効果があるように感じた人もいたようだけど、「過去の翻訳資産」には「不良資産」もたくさん含まれているんですよ。むしろ「不良資産」が非常に多いので、常に翻訳資産をメンテナンスしていかないと、不良資産が自分で増殖していく。最終的には不良資産が蔓延して過去の翻訳資産をコントロールできなくなって投げ出す。実際、少なくとも医薬系でTradosなどの翻訳支援ツールと過去の翻訳資産が活用されているなんて聞いたことがありません。

前述したように、「過去の翻訳資産」を利用できる状態にするには常にメンテナンスすること、つまり修正や差し替えが必須です。このデータ管理の重要性はイートモを作成していて痛感しています。

MTの講演には出席しませんでしたが、ほぼ予想通りだったようです。おかげさまで、成田さんの説明でよく理解できました。よくない訳文の蓄積はTradosなどの支援ソフトでもあり得ると思いますが、かえって手間がかかる可能性は高いと思います。「ポストエディットの単価を高くしないと、手抜きする翻訳者が出てきますよ。」・・・この確率は100%と言っていいでしょうな。おっしゃるとおりボランティアではないので。私の場合は、いい年して自分の訳文をもっとよくしなければならない人間なので、MTに向かってえらそうなことはいえませんが、懇親会に出席した方たちもかなり難しい印象を受けたようです。(@Д@;

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