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2019年12月27日 (金)

NEJM abstract

日本全国のイートモファンのみなさん、こんにちは。

Medical Translator NARITAです。

 

先日にも掲載しましたが、イートモユーザー様(後日ご購入くださいました)からいただいたご質問です。

 

Jugyoryo_20191227134401

 

NEJM abstract。

ちょうどいい長さなので、公表されている日本語訳と機械翻訳(みらい翻訳)の訳を比べてみました。

素材は最新版の一番最初のarticle

コメントはMedical Translator NARITAのコメントです。

ざっとチェックしただけです。後で修正するかもしれません。

 

 

Efficacy and Safety of Low-Dose Colchicine after Myocardial Infarction

日本語アブ

心筋梗塞後の低用量コルヒチンの有効性と安全性

みらい翻訳

心筋梗塞後の低用量コルヒチンの有効性と安全性

コメント

まったく同じ。専門家向け医薬文書で「と」はできれば少なめにしたほうがよいかと。

 

Abstract

BACKGROUND

Experimental and clinical evidence supports the role of inflammation in atherosclerosis and its complications. Colchicine is an orally administered, potent antiinflammatory medication that is indicated for the treatment of gout and pericarditis.

日本語アブストラクト

背景

実験および臨床でのエビデンスは,アテローム性動脈硬化とその合併症に炎症が果たす役割を支持している.コルヒチンは経口投与される強力な抗炎症薬で,痛風と心膜炎の治療に適応がある

みらい翻訳

要約

背景

実験的および臨床的証拠は,アテローム性動脈硬化症とその合併症における炎症の役割を支持する。コルヒチンは経口投与される強力な抗炎症薬であり、痛風や心膜炎の治療に適応となる

コメント

みらい翻訳の「における炎症の役割を支持する」のほうがベターです。is indicated forの和訳は両者とも改善の余地ありです。イートモユーザーはイートモを参照のこと。

 

METHODS

We performed a randomized, double-blind trial involving patients recruited within 30 days after a myocardial infarction. The patients were randomly assigned to receive either low-dose colchicine (0.5 mg once daily) or placebo. The primary efficacy end point was a composite of death from cardiovascular causes, resuscitated cardiac arrest, myocardial infarction, stroke, or urgent hospitalization for angina leading to coronary revascularization. The components of the primary end point and safety were also assessed.

日本語アブストラクト

方 法

心筋梗塞発症後 30 日以内に登録された患者を対象に無作為化二重盲検試験を行った.患者を,低用量コルヒチン(0.5 mg 1 日 1 回)を投与する群とプラセボを投与する群に無作為に割り付けた.主要有効性エンドポイントは,心血管系の原因による死亡,蘇生された心停止,心筋梗塞,脳卒中,冠血行再建にいたった狭心症による緊急入院の複合とした.主要エンドポイントの各項目と安全性についても評価した.

みらい翻訳

方法

心筋梗塞後30日以内に募集した患者を含む無作為化二重盲検試験を実施した。患者は低用量コルヒチン(0.5 mg,1日1回)またはプラセボのいずれかにランダムに割り付けられた。一次エンドポイント心血管死+蘇生後心停止+心筋梗塞+脳卒中+狭心症による緊急入院+冠動脈血行再建術一次エンドポイントの構成要素と安全性も評価した。

コメント

日本語アブストラクトについては、recruitedの訳が疑問がある。primary efficacy end pointを本文全体を通じて「主要有効性エンドポイント」で統一するのは厳しいのではないか。これにしても、クライアントの指示に従えばいい。compositeは文脈からしてcomposite  end pointのことであることは明らかだから、「複合エンドポイント」と補ってやらないと。 

みらい翻訳については、「一次エンドポイント」は間違い。 「心血管死+蘇生後心停止+心筋梗塞+脳卒中+狭心症による緊急入院+冠動脈血行再建術 」となるのは機械だから仕方がないところか? 

 

RESULTS

A total of 4745 patients were enrolled; 2366 patients were assigned to the colchicine group, and 2379 to the placebo group. Patients were followed for a median of 22.6 months. The primary end point occurred in 5.5% of the patients in the colchicine group, as compared with 7.1% of those in the placebo group (hazard ratio, 0.77; 95% confidence interval [CI], 0.61 to 0.96; P=0.02). The hazard ratios were 0.84 (95% CI, 0.46 to 1.52) for death from cardiovascular causes, 0.83 (95% CI, 0.25 to 2.73) for resuscitated cardiac arrest, 0.91 (95% CI, 0.68 to 1.21) for myocardial infarction, 0.26 (95% CI, 0.10 to 0.70) for stroke, and 0.50 (95% CI, 0.31 to 0.81) for urgent hospitalization for angina leading to coronary revascularization. Diarrhea was reported in 9.7% of the patients in the colchicine group and in 8.9% of those in the placebo group (P=0.35). Pneumonia was reported as a serious adverse event in 0.9% of the patients in the colchicine group and in 0.4% of those in the placebo group (P=0.03).

日本語アブストラクト

結 果

4,745 例が登録され,2,366 例がコルヒチン群,2,379 例がプラセボ群に割り付けられた.患者を中央値 22.6 ヵ月間追跡した.主要エンドポイントは,コルヒチン群では 5.5%に発生したのに対し,プラセボ群では 7.1%に発生した(ハザード比 0.77,95%信頼区間 [CI] 0.61~0.96,P=0.02).ハザード比は,心血管系の原因による死亡が 0.84(95% CI 0.46~1.52),蘇生された心停止が 0.83(95% CI 0.25~2.73),心筋梗塞が 0.91(95% CI 0.68~1.21),脳卒中が 0.26(95% CI 0.10~0.70),冠血行再建にいたった狭心症による緊急入院が 0.50(95% CI 0.31~0.81)であった.下痢はコルヒチン群の 9.7%とプラセボ群の 8.9%で報告された(P=0.35).重篤な有害事象として,肺炎がコルヒチン群の 0.9%とプラセボ群の 0.4%で報告された(P=0.03).

みらい翻訳

結果

計4745例の患者が登録された;コルヒチン群2366例,プラセボ群2379例。追跡期間の中央値は22.6カ月であった。一次エンドポイントはコルヒチン群5.5%,プラセボ群7.1%(ハザード比,0.77#ハザード比#;95%信頼区間[CI]、0.61~0.96;P=0.02)。ハザード比は,心血管死が0.84(95% CI、0.46~1.52),蘇生心停止が0.83(95% CI、0.25~2.73),心筋梗塞が0.91(95% CI、0.68~1.21),脳卒中が0.26(95% CI、0.1~0.7),冠血行再建術につながる狭心症による緊急入院が0.5(95% CI、0.31~0.81)であった。下痢はコルヒチン群の患者の9.7%、プラセボ群の患者の8.9%で報告された(P=0.35)。重篤な有害事象として肺炎がコルヒチン群で0.9%、プラセボ群で0.4%報告された(P=0.03)。

コメント

日本語アブストラクトについては、enrolledで初めて「登録(組み入れ)」となるのだから、やはりrecruitedで「登録」と断定するのは良くない。それと、A total ofもはしょらずに訳出してほしい。 「エンドポイントが発生した」は日本語として不自然。The primary end pointは「Methods」で複合エンドポイントであり、その構成イベントはdeath from cardiovascular causes, resuscitated cardiac arrest, myocardial infarction, stroke, or urgent hospitalization for angina leading to coronary revascularizationと定義されているのだから、「主要評価項目の構成イベントは~に発生した」のように補ったほうが良いのでは? 主要評価項目と複合エンドポイントの関係はこちらを参照

みらい翻訳については、A total ofがきっちり訳出されているのが好感持てる。セミコロンの処理が苦手なのか? as compared withのような比較表現の処理も苦手の様子。英語原稿に0.9% of the patientsとあるのだから、the patientsを省略しないように設定したほうが良いのでは? 日本語アブストラクトでも%の分母を省略しないほうがいい。

 

CONCLUSIONS

Among patients with a recent myocardial infarction, colchicine at a dose of 0.5 mg daily led to a significantly lower risk of ischemic cardiovascular events than placebo.

日本語アブストラクト

結 論

最近心筋梗塞を発症した患者では,1 日 0.5 mg のコルヒチンにより,虚血性心血管イベントのリスクがプラセボと比較して有意に低下した.

みらい翻訳

結論

最近心筋梗塞を発症した患者では、コルヒチン0.5 mg/日の投与により有意差が認められた

コメント

日本語アブストラクトについては、特に問題なしです。

みらい翻訳については、大きな訳抜けと致命的なエラー。機械はled toに弱いのか。ポストエディットでこの訳抜けを見つけるのは容易です。

 

みらい翻訳を含めた機械翻訳は、和訳においてセミコロン(たぶんコロンも)や比較表現の処理が苦手であることが、こんな短い英文原稿を試しただけでわかります。

機械が苦手な部分を重点的に前処理すれば後処理がかなり楽になると思われます。

何と言ってもスピードが魅力です。優秀なエディターがいるという条件で、医学翻訳仕事の現場に導入する価値はあると思います。

 

機械がこのレベルの和訳を一瞬でアウトプットしてくれれば、できる医学翻訳者は大儲けか?

私は引退したからやらんよ。

 

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