イートモ実戦応用例・タミフル・添付文書・No.11
無料なのに有料級の実戦的資料、イートモ実戦応用例。
題材にするのはタミフルの添付文書。
No.11です。
今回のPre-editは3カ所です。
一つ目。
「における」と「に対する」の使い方が良くない。
最小限のPre-editでまともな英訳になりました。
二つ目。
センテンス1:「プラセボを対照とした第Ⅲ相臨床試験(JV15823)の5日間投与におけるインフルエンザ罹病期間(全ての症状が改善するまでの時間)に対する有効性を以下に示す。」
センテンス2:「インフルエンザ感染症患者を対象とした二重盲検比較試験において、~」
「プラセボを対照とした第Ⅲ相臨床試験」と「二重盲検比較試験」は同じ試験であるのに、対象患者やデザインといった試験の要素がセンテンス1とセンテンス2にバラバラに散在しているため、 別々の試験のような記載になっています。しかも、試験デザインの記述しているセンテンス1の中で、突然、 「有効性を以下に示す」と結果の記述になっています。そして、センテンス2では再び、何らかの試験のデザインの記述になっている。
これでは、和文原稿がよくわからない記述になっているので、英訳もよくわからない記述になるのは当然。
そこで、Pre-edit後のように、「試験デザインを記述するセンテンス」と「結果を記述するセンテンス」に区別しました。情報は元の和文原稿から逸脱していません。
三つ目。
一つ目と同じ考えでPre-editしました。
今回のような和文原稿の不具合はめずらしいことではありません。医薬系の英訳者は、機械翻訳のない時代から、脳内Pre-editしながら英訳してきました。
機械翻訳が普及しつつあり、ポストエディットの必要性がいろいろ言われているようですが、英文をポストエディットするのは容易ではありません。ポストエディットは医学翻訳初心者にさせるという傾向があるようですが、数値やスペルのチェックならともなく、本当の意味でのポストエディットは難しいです。日本人にとっては英文を修正するよりも和文を修正するほうが楽であることは明白です。Pre-editによりポストエディットの負荷を減らすほうが良いのではないかと私は思います。
いろいろ書きましたが、結論はPre-editもポストエディットも両方難しい。
ダウンロード - e382bfe3839fe38395e383abe383bbe6b7bbe4bb98e69687e69bb8e383bbno.11.pdf
※イートモは医学翻訳のプロになるための補助、あるいはプロとして活躍するための補助になるように作られた医学翻訳フリーランスのための参考資料です。英文と和文の対応がわかりやすく、日英間で相互利用できるように、意図的に主観を除いて可能な限り直訳的に作成しています。参照の際にはご注意ください。
イートモユーザー・オンリーではコピペ可能なファイルを紹介します。
« イートモ実戦応用例・タミフル・添付文書・No.10 | トップページ | イートモ実戦応用例・タミフル・添付文書・No.12 »
« イートモ実戦応用例・タミフル・添付文書・No.10 | トップページ | イートモ実戦応用例・タミフル・添付文書・No.12 »
コメント