翻訳を重視して
この医学翻訳ブログは医学翻訳のクライアントとなる多くの製薬企業や大学に勤務の方が見てくださっています。
そこでお願いなのですが、翻訳発注担当者には訳文の枝葉末節にこだわりすぎるあまり訳文の骨格を軽視して翻訳者・翻訳会社を選別する人に任せないほうがいいと思います。ケアレスミスはどんなに実力ある翻訳者にも避けられません。訳文を製薬企業等の業務に利用する前に社内で訳文をリライトすると思いますが、リライトの際には訳文の骨格がしっかりしていればリライトしやすいですから。
さらに、ケアレスミスを見つけては翻訳会社や翻訳者とそのミスに至った理由について詳しく説明を求めるような人もいますが(その気持ちはわからないではないですが)、翻訳会社や翻訳者の負担が増えるだけで、進行中の翻訳が遅れることになり、クライアントにも翻訳会社・翻訳者にもプラスにはなりません。ケアレスミスのリストを翻訳会社・翻訳者が作り、以降の翻訳に活かしたほうが互いにプラスになります。
それと、訳文の品質や納品スピードよりも値引きを重視する翻訳発注担当者も好ましくありません。翻訳会社との値引き交渉に時間がとられて、翻訳者が訳出する時間が削られては良質の訳文はできないということです。例えば1枚5000円の翻訳料が10%値引きとなったとしても、値引き交渉した担当者の評価が少しばかり上がるだけで、企業の業績にはほぼ影響なしでしょう。むしろ、値引き交渉によって翻訳の進捗スピートが遅れたり、値引きされた翻訳料に見合ったレベルの翻訳者が担当することもありえます。その結果、翻訳の進捗スピートの遅れに加えて、リライトに時間がかかり、研究開発・承認申請がさらに遅れることのほうがはるかにダメージは大きいでしょう。
以上、長い間医学翻訳の仕事をしていて感じた無意味なことの一部を掲載しました。
私が言いたいことは、製薬企業等には翻訳を末端の業務ととらえず、研究開発・承認申請が円滑に進むように翻訳をもっと重要視してもらいたいということです。
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