和文原稿のpre-edit事例

2024年12月31日 (火)

和文原稿のpre-edit事例

[和文原稿]

すなわち,国内で実施した小児てんかん患者の部分発作に対する併用療法の臨床試験成績を評価資料とし,外国で実施され,承認申請に利用された成人及び小児てんかん患者の部分発作に対する併用療法,単剤療法の臨床試験成績を参考資料として臨床データパッケージとすることで,小児てんかん患者の部分発作に対する併用療法を目的とした承認申請は可能と考え,国内の承認申請を行うこととした。

 

上記の和文をDeepLに英訳してもらいます。

In other words, by using the results of clinical trials conducted in Japan of adjunctive therapy for partial-onset seizures in pediatric patients with epilepsy as the evaluation data and the results of clinical trials conducted outside Japan of adjunctive therapy and monotherapy for partial-onset seizures in adults and pediatric patients with epilepsy used in the application for approval as reference data, it was considered possible to submit a clinical data package for adjunctive therapy in pediatric patients with epilepsy. We believe that it is possible to submit an application for approval for adjunctive therapy for partial-onset seizures in pediatric patients with epilepsy, and have decided to submit an application for approval in Japan.

 

「by using the results of clinical trials conducted in Japan of adjunctive therapy for partial-onset seizures in pediatric patients with epilepsy as the evaluation data and the results of clinical trials conducted outside Japan of adjunctive therapy and monotherapy for partial-onset seizures in adults and pediatric patients with epilepsy used in the application for approval as reference data,」

主語の前にこのような長い文章が来たのでは読む気が起こりません。

まずは主語を先頭に出したいところです。

 

その前に「すなわち、」が曲者です。

このセンテンスの直前に「外国臨床データの利用は可能と判断した」とあります。「すなわち、」は「外国臨床データが利用可能であることから」と読み替えたほうがよいでしょう。

和文原稿は長すぎるので2分割します。

 

1.すなわち,国内で実施した小児てんかん患者の部分発作に対する併用療法の臨床試験成績を評価資料とし,外国で実施され,承認申請に利用された成人及び小児てんかん患者の部分発作に対する併用療法,単剤療法の臨床試験成績を参考資料として臨床データパッケージとした。

2.小児てんかん患者の部分発作に対する併用療法を目的とした承認申請は可能と考え,国内の承認申請を行うこととした。

 

1.の和文において、中心的な情報は以下の通りです。

「臨床データパッケージは国内で実施した小児てんかん患者の部分発作に対する併用療法の臨床試験成績を評価資料として構築した。」


次に重要なのが、

「外国臨床データが利用可能であることから、外国で実施され,承認申請に利用された成人及び小児てんかん患者の部分発作に対する併用療法及び単剤療法の臨床試験成績を参考資料として含めた。」

両者をワンセンテンスで記述します。

「臨床データパッケージは国内で実施した小児てんかん患者の部分発作に対する併用療法の臨床試験成績を評価資料として構築し、外国臨床データが利用可能であることから、外国で実施され,承認申請に利用された成人及び小児てんかん患者の部分発作に対する併用療法及び単剤療法の臨床試験成績を参考資料として含めた。」

ここで一旦、DeepLに英訳させます。

The clinical data package was constructed using the results of clinical trials conducted in Japan of adjunctive therapy for partial-onset seizures in pediatric epilepsy patients as the evaluation material, and since foreign clinical data are available, clinical trial results of adjunctive therapy and monotherapy for partial-onset seizures in adults and pediatric epilepsy patients conducted abroad and used in the application for approval were included in the clinical data package as reference material.

 

次は

2.小児てんかん患者の部分発作に対する併用療法を目的とした承認申請は可能と考え,国内の承認申請を行うこととした。

 

「国内の承認申請を行う」は「国内での承認申請は可能と考え」とまとめてしまいます。

和文を以下のように整理します。

「この臨床データパッケージに基づき、小児てんかん患者の部分発作に対する併用療法を目的とした本邦での承認申請は可能と考えた。」


最終的に以下のようにpre-editされました。

「臨床データパッケージは国内で実施した小児てんかん患者の部分発作に対する併用療法の臨床試験成績を評価資料として構築し、外国臨床データが利用可能であることから、外国で実施され,承認申請に利用された成人及び小児てんかん患者の部分発作に対する併用療法及び単剤療法の臨床試験成績を参考資料として含めた。この臨床データパッケージに基づき、小児てんかん患者の部分発作に対する併用療法を目的とした本邦での承認申請は可能と考えた。」

 

再度、DeepLに英訳させます。

The clinical data package was constructed using the results of clinical trials conducted in Japan of adjunctive therapy for partial-onset seizures in pediatric epilepsy patients as the evaluation material, and since foreign clinical data are available, clinical trial results of adjunctive therapy and monotherapy for partial-onset seizures in adults and pediatric epilepsy patients conducted abroad and used in the application for approval were included as reference material. The results of clinical trials conducted in foreign countries for combination therapy and monotherapy for partial-onset seizures in adults and pediatric epilepsy patients were included as reference materials. Based on this clinical data package, we considered that an application for approval in Japan for adjunctive therapy for partial-onset seizures in pediatric patients with epilepsy was feasible.

 

医薬の和文原稿はpre-edit(読み替え)しないと、いくらMTが優秀でも良質な英文にはならないことがわかります。MT・AIがいくら進歩しても、医薬のpre-editorの需要はなくならないでしょう。

 

2024年11月21日 (木)

和文原稿のpre-edit事例

[和文原稿]

前期第2相であるステージ1は、アスナプレビル錠の3つの用法・用量で(200 mg 12回、600 mg 12回及び600 mg 11回)をpegIFNα/RBVと併用投与したときの安全性及び有効性を評価することを目的として、後期第2相であるステージ2は、ステージ1の結果から選択したアスナプレビル錠の用法・用量(200 mg 12回)をpegIFNα/RBVと併用投与したときの安全性及び有効性を評価することを目的として実施した。

 

上記の和文をDeepLに英訳させました。以下のようになりました。

 

Stage 1, the first phase 2, was designed to evaluate the safety and efficacy of three doses of asunaprevir tablets (200 mg twice daily, 600 mg twice daily, and 600 mg once daily) when administered in combination with pegIFNα/RBV, and stage 2, the second phase 2, was designed to evaluate the safety and efficacy of the Stage 2, a late phase 2 study, was conducted to evaluate the safety and efficacy of asunaprevir tablet dosage (200 mg twice daily) selected from the results of Stage 1 when administered concomitantly with pegIFNα/RBV.

 

和文原稿が長すぎるので、その英訳も長く、かつ重複も生じているようです。

 

まずは、和文原稿を2分割します。

 

1. 前期第2相であるステージ1は、アスナプレビル錠の3つの用法・用量で(200 mg 12回、600 mg 12回及び600 mg 11回)をpegIFNα/RBVと併用投与したときの安全性及び有効性を評価することを目的とした。

2. 後期第2相であるステージ2は、ステージ1の結果から選択したアスナプレビル錠の用法・用量(200 mg 12回)をpegIFNα/RBVと併用投与したときの安全性及び有効性を評価することを目的として実施した。

 

1.から分析します。

「アスナプレビル錠の3つの用法・用量で(200 mg 12回、600 mg 12回及び600 mg 11回)をpegIFNα/RBVと併用投与した」

がおかしい。

 

「アスナプレビル錠を3つの用法・用量(200 mg 12回、600 mg 12回及び600 mg 11回)によって投与した(各用量をpegIFNα/RBVと併用投与した) 」

と読み替えます。

 

「前期第2相であるステージ1は、」

「ステージ1(early phase II part)は、」

と読み替えます。

 

以上を統合して、

「ステージ1(early phase II part)は、アスナプレビル錠を3つの用法・用量(200 mg 12回、600 mg 12回及び600 mg 11回)によって投与したときの安全性及び有効性を評価することを目的とした(各用量をpegIFNα/RBVと併用投与した)。」

とします。

 

次は2.

2. 後期第2相であるステージ2は、ステージ1の結果から選択したアスナプレビル錠の用法・用量(200 mg 12回)をpegIFNα/RBVと併用投与したときの安全性及び有効性を評価することを目的として実施した。

 

「ステージ1の結果から選択したアスナプレビル錠の用法・用量(200 mg 12回)」

を独立したセンテンスにします。

「ステージ1の結果から、アスナプレビル錠200 mg 12回投与を選択した。」

 

「後期第2相であるステージ2は、」

は1.と同様、以下のように読み替えます。

「ステージ2(late phase II part)は、」

 

以上を統合します。

「ステージ1の結果から、アスナプレビル錠200 mg 12回投与を選択した。ステージ2(late phase II part)は、アスナプレビル錠をこの用法・用量によってpegIFNα/RBVと併用投与したときの安全性及び有効性を評価することを目的として実施した。」


以上の1.と2.を合わせます。

 

「ステージ1(early phase II part)は、アスナプレビル錠を3つの用法・用量(200 mg 12回、600 mg 12回及び600 mg 11回)によって投与したときの安全性及び有効性を評価することを目的とした(各用量をpegIFNα/RBVと併用投与した)。ステージ1の結果から、アスナプレビル錠200 mg 12回投与を選択した。ステージ2(late phase II part)は、アスナプレビル錠をこの用法・用量によってpegIFNα/RBVと併用投与したときの安全性及び有効性を評価することを目的として実施した。」

 

上記のpre-editした和文を再びDeepLに英訳させます。

 

Stage 1 (early phase II part) was designed to evaluate the safety and efficacy of asunaprevir tablets administered according to three dosage regimens (200 mg twice daily, 600 mg twice daily, and 600 mg once daily) (each dose was given in combination with pegIFNα/RBV). Stage 1. Based on the results of Stage 1, asunaprevir tablets 200 mg twice daily were selected. Stage 2 (late phase II part) was conducted to evaluate the safety and efficacy of asunaprevir tablets when administered in combination with pegIFNα/RBV according to this dosage regimen.

 

すっきり明快な英文になりました。

MTを使いこなすには読み替えが必須です。MTに振り回されないように、イートモで読み替えのコツを習得しましょう。

 

2024年10月24日 (木)

和文原稿のpre-edit事例

[和文原稿]

薬物動態データの統合に際しては、最も重要な臨床用量、すなわち200mg錠の第2相試験での食後投与と100mg軟カプセルの第3相試験での食後又は空腹時投与を中心とした。

 

上記の和文原稿をDeepLに英訳してもらいました。

In integrating the pharmacokinetic data, we focused on the most important clinical doses, namely the postprandial administration of the 200 mg tablet in the Phase 2 study and the postprandial or fasting administration of the 100 mg soft capsule in the Phase 3 study.

 

和文は何を言っているのかよくわかりません。当然、そのMT英訳もなんのこっちゃという感じです。

 

和文原稿の根幹は「薬物動態データを統合した」です。

何に応じて統合したかというと「最も重要な臨床用量が投与された被験者に応じて統合した」と読み替えられます。

「最も重要な臨床用量」は具体的に何かというと、

「200mg錠の第2相試験での食後投与」

「100mg軟カプセルの第3相試験での食後又は空腹時投与」

です。

 

薬物動態データが得られた被験者を中心に記述をそれぞれ整理します。

2相試験で200mg錠の食後投与を受けた被験者」

「第3相試験で100mg軟カプセルの食後又は空腹時投与を受けた被験者」

となります。

 

以上をまとめると、

「薬物動態データは最も重要な臨床用量が投与された被験者、すなわち第2相試験で200mg錠の食後投与を受けた被験者又は第3相試験で100mg軟カプセルの食後又は空腹時投与を受けた被験者に応じて統合した。」

 

上記の読み替えた和文を再びDeepLに英訳してもらいます。

 

Pharmacokinetic data were combined according to the subjects who received the most significant clinical dose, i.e., those who received the 200 mg tablet postprandial in the Phase 2 study or the 100 mg soft capsule postprandial or fasting in the Phase 3 study.

 

だいぶマシになりましたが、「統合」で主に使われるpoolに変更し、軽微な修正を行います。poolの使い方はイートモをご覧ください。

Pharmacokinetic data were pooled according to the subjects who received the most significant clinical dose, i.e., those who received the 200 mg tablet postprandial in the Phase 2 study or those who revieved the 100 mg soft capsule postprandial or fasting in the Phase 3 study.

 

2024年10月23日 (水)

和文原稿のpre-edit事例

[和文原稿]

アスナプレビル200mg 12回を併用投与すると、ジゴキシンのAUC(0-T)及びAUC(INF)の幾何平均値比がそれぞれ1.343及び1.288であったことから、臨床的に弱いP-gp阻害薬であると考えられた。

 

上記の和文原稿をDeepLに英訳させます。

When asunaprevir 200 mg twice daily was administered concomitantly, the geometric mean ratio of AUC(0-T) and AUC(INF) of digoxin were 1.343 and 1.288, respectively, suggesting that digoxin is a clinically weak P-gp inhibitor.

 

一見すると明瞭な和文のような気がしますが、意味がよくわかりません。なぜかというと医薬の和文によくある主語と述語・目的語が一致していないためです。

最初の部分「アスナプレビル200mg 12回を併用投与すると」については、アスナプレビルを何と併用投与したのか不明です。文意から判断してアスナプレビルはジゴキシンと併用投与したものと思われます。したがって、以下のように読み替えなければなりません。

 

「アスナプレビル200mg 12回をジゴキシンと併用投与すると」



次の部分「ジゴキシンのAUC(0-T)及びAUC(INF)の幾何平均値比がそれぞれ1.343及び1.288であった」。この部分は以下のように読み替えられます。

 

アスナプレビルと比較したジゴキシンのAUC(0-T)及びAUC(INF)の幾何平均比はそれぞれ1.343及び1.288であった」

 

最後の部分「臨床的に弱いP-gp阻害薬であると考えられた」。アスナプレビルがP-gp阻害薬であることから、ジゴキシンのAUC(0-T)及びAUC(INF)が高値になったのですから、臨床的に弱いP-gp阻害薬はジゴキシンではなく、アスナプレビルです。したがって、以下のように読み替えられます。

 

アスナプレビルは臨床的に弱いP-gp阻害薬であると考えられた」



したがって、文章全体は以下のように読み替えられます。


「アスナプレビル200mg 1日2回をジゴキシンと併用投与したとき、アスナプレビルと比較したジゴキシンのAUC(0-T)及びAUC(INF)の幾何平均比はそれぞれ1.343及び1.288であったことから、アスナプレビルは臨床的に弱いP-gp阻害薬であると考えられた。


上記の読み替えた、すなわちpre-editした和文を再びDeepLに英訳させます。



When asunaprevir 200 mg twice daily was administered in combination with digoxin, the geometric mean ratio of AUC(0-T) and AUC(INF) of digoxin compared to asunaprevir was 1.343 and 1.288, respectively, suggesting that asunaprevir is a clinically weak P-gp inhibitor .


ナイスな英訳になりました。

医薬の和文は、主語と述語・目的語が一致しない、論理の展開に不具合があるなどの理由で、そのままMTにかけてもうまく英訳されません。だから、メディカル英訳の極意に示すように、MTがいくら進歩しても読み替え(pre-edit)しなければならないのです。

 

2024年10月13日 (日)

和文原稿のpre-edit事例

久しぶりに和文原稿のpre-edit事例を紹介します。

 

[和文原稿]

アスナプレビルの軟カプセル100mgの空腹時投与に対して、高脂肪食摂取後の単回経口投与時のアスナプレビルのAUC(0-T)AUC(INF)及びCmaxの幾何平均値比はそれぞれ1.2011.195及び1.34 であった。

 

上記の和文原稿をDeepLに英訳させます。

The geometric mean ratios of AUC(0-T), AUC(INF), and Cmax of asunaprevir at a single oral dose after a high-fat diet were 1.201, 1.195, and 1.34, respectively, for the fasting dose of 100 mg soft capsule of asunaprevir.

 

何と何を比較して、何を求めているのかはっきりしません。

「高脂肪食摂取後の単回経口投与時のアスナプレビル」とありますが、これは「アスナプレビル軟カプセル100mgを高脂肪食摂取後に単回経口投与した」ということです。

したがって、

「アスナプレビル軟カプセル100mgを高脂肪食摂取後に単回経口投与したときのAUC(0-T)、AUC(INF)及びCmaxをアスナプレビル軟カプセル100mgの空腹時投与後に測定した対応するパラメータと比較した。」

と読み替えることができます。

 

上記の和文

「アスナプレビル軟カプセル100mgを高脂肪食摂取後に単回経口投与したときのAUC(0-T)、AUC(INF)及びCmaxをアスナプレビル軟カプセル100mgの空腹時投与後に測定した対応するパラメータと比較した。」

をDeepLに英訳させてみます。

 

The AUC(0-T), AUC(INF), and Cmax of a single oral dose of asunaprevir soft capsule 100 mg after a high-fat meal were compared with the corresponding parameters measured after fasting administration of asunaprevir soft capsule 100 mg.

なかなか良い英文になりました。

しかし、「幾何平均値比」に関する記述が抜けています。この部分は別センテンスで読み替えてみます。

以下のようになります。

 

「空腹時投与のこれらのパラメータに対する食後投与のパラメータの幾何平均比はそれぞれ1.201、1.195及び1.34 であった。

 

以上を総合すると、和文原稿は以下のようになります。

「アスナプレビル軟カプセル100mgを高脂肪食摂取後に単回経口投与したときのAUC(0-T)、AUC(INF)及びCmaxをアスナプレビル軟カプセル100mgの空腹時投与後に測定した対応するパラメータと比較した。空腹時投与のこれらのパラメータに対する食後投与のパラメータの幾何平均比はそれぞれ1.201、1.195及び1.34 であった。」

 

上記の和文原稿をDeepLに英訳させてみます。

The AUC(0-T), AUC(INF), and Cmax of a single oral dose of 100 mg asunaprevir soft capsules after a high-fat meal were compared with the corresponding parameters measured after fasting administration of 100 mg asunaprevir soft capsules. The geometric mean ratios of these parameters for postprandial administration to those for fasting administration were 1.201, 1.195 and 1.34, respectively.

 

イートモで検索すべき用語・表現 → 軟カプセル、空腹時投与、高脂肪食、単回経口投与、AUC、Cmax、幾何平均比

各用語・表現についてイートモで翻訳トレーニングを行い、理解を深めてください。

MTとイートモを駆使して、各自が独力で英訳の研究をする時代です。短期間で大幅に実力アップします。翻訳スクールで講師による解説を聞いているだけでは1ミリも進歩しません。

 

2024年8月28日 (水)

和文原稿のpre-edit事例

久しぶりにpre-edit事例を紹介します。

 

定常状態におけるアスナプレビルの曝露量(CmaxAUC (TAU)及びCmin)は、健康被験者と比較して、中等度の肝機能障害被験者でそれぞれ5.09.8及び32.9倍、並びに重度の肝機能障害被験者でそれぞれ22.932.1及び76.5倍と著しく高かった。

上記の和文をDeepLに英訳させてみます。

Asunaprevir exposure (Cmax, AUC (TAU) and Cmin) at steady state was significantly higher in subjects with moderate hepatic dysfunction (5.0, 9.8 and 32.9 times) and in subjects with severe hepatic dysfunction (22.9, 32.1 and 76.5 times) compared to healthy subjects.

 

わからなくもないが、「5.09.8及び32.9倍」および「22.932.1及び76.5倍」はCmaxAUC (TAU)及びCminに対応しているので、メインの情報とサブの情報に分けましょう。

メインの情報は・・・

定常状態におけるアスナプレビルの曝露量は、健康被験者よりも中等度の肝機能障害被験者で及び重度の肝機能障害被験者で著しく高かった。


サブの情報は・・・

CmaxAUC (TAU)及びCminは中等度の肝機能障害被験者でそれぞれ5.09.8及び32.9倍、重度の肝機能障害被験者でそれぞれ22.932.1及び76.5倍であった。

 

メインの情報とサブの情報を別々に英訳してもいいが、ワンセンテンスで記述することを試みます。

定常状態におけるアスナプレビルの曝露量は健康被験者よりも中等度の肝機能障害被験者で及び重度の肝機能障害被験者で著しく高く、CmaxAUC (TAU)及びCminは前者でそれぞれ5.09.8及び32.9倍、後者でそれぞれ22.932.1及び76.5倍高かった。

上記の和文を再びDeepLに英訳させます。

Exposure to asunaprevir at steady state was significantly higher in subjects with moderate and severe hepatic dysfunction than in healthy subjects, with Cmax, AUC (TAU) and Cmin 5.0, 9.8 and 32.9 times higher in the former and 22.9, 32.1 and 76.5 times higher in the latter, respectively

 

以下のようにpost-editして出来上がり。

Exposures to asunaprevir at steady state were significantly higher in subjects with moderate hepatic dysfunction and severe hepatic dysfunction than in healthy subjects, with Cmax, AUC (TAU) and Cmin being 5.0, 9.8 and 32.9 times higher in the former and 22.9, 32.1 and 76.5 times higher in the latter, respectively

 

2024年4月17日 (水)

和文原稿のpre-edit事例-9

[和文原稿]

SOF群の平均クレアチニンクリアランスは、中等度及び重度肝機能障害被験者でそれぞれ94.31及び 92.60 mL/minであった。GS-0938群での平均クレアチニンクリアランスは102.43 mL/min.であった(表 2.7.6.6-2)。

 

スタイルは和文原稿のpre-edit事例-8と類似しており、pre-editの進め方も同じになります。

そちらを参照してください。

 

最近はこのような類似部分は翻訳料にならないか、ディスカウントされるのでしょうか?

昔の話で申し訳ありませんが、毒性試験報告書の和訳依頼がどっさり来て大変だと思いましたが、実験動物が異なるだけの報告書でした。つまり、ラットを用いて毒性試験報告書を和訳してしまえば、あとのマウス、ウサギ、イヌ等の報告書は微調整するだけ。もちろん、個々の報告書は原文と照合してチェックしました。依頼された分はきっちり作業したのですから、ディスカウントされる理由はなく、全額支払われました。

医学翻訳はこういう「おいしいところ」があるので良かったのですが、最近はPCの性能が良くなって差分が出るからおいしくないね。

差分を考慮して訳文を仕上げるのはものすごく労力がいるんだよ。翻訳会社はクライアントにいい顔ばかりしないで、労力に見合った翻訳料を請求してほしいな。翻訳会社や翻訳者がいなくなったら、日本の製薬業界は世界から置いてけぼりになりますよと啖呵を切ってくれ。

おっさんはとっくにFIREしたからどうでもいいけどさ。

20240417-101244

2024年4月14日 (日)

和文原稿のpre-edit事例-8

[和文原稿]

SOF群のベースラインの対数化(log10)平均HCV RNA量は、中等度及び重度肝機能障害被験者でそれぞれ 5.95及び5.70 IU/mLであった。GS-0938群のベースラインの対数化(log10)平均HCV RNA量は5.28 IU/mLであった。

 

上記の和文をDeepLに英訳させます。

The log10 mean baseline HCV RNA levels in the SOF group were 5.95 and 5.70 IU/mL for subjects with moderate and severe hepatic dysfunction, respectively; the log10 mean baseline HCV RNA level in the GS-0938 group was 5.28 IU/mL.

 

悪くはないのですが、英文だけをみたら、すっきりしません。

 

「SOF群」とか「GS-0938群」とか「群」を使うのはやめましょう。代わりに「SOFに割り付けた~」、「GS-0938に割り付けた~」と記述したほうが明瞭になります。


したがって、1番目のセンテンスは、

「ベースラインの対数化(log10)平均HCV RNA量は、SOFに割り付けられた中等度及び重度肝機能障害被験者でそれぞれ 5.95及び5.70 IU/mLであった。」

となります。

 

2番目のセンテンスについては、先行するパラグラフからわかるように、GS-0938に割り付けられたのは中等度肝機能障害の被験者のみでした。

したがって、以下のようにpre-editします。

「GS-0938に割り付けられた中等度肝機能障害の被験者におけるベースラインの対数化(log10)平均HCV RNA量は5.28 IU/mLであった。」

 

以上を整理します。

「ベースラインの対数化(log10)平均HCV RNA量は、SOFに割り付けられた中等度及び重度肝機能障害被験者でそれぞれ 5.95及び5.70 IU/mLであった。GS-0938に割り付けられた中等度肝機能障害の被験者におけるベースラインの対数化(log10)平均HCV RNA量は5.28 IU/mLであった。」

上記のpre-editした和文を再びDeepLに英訳させました。

The logarithmized (log10) mean baseline HCV RNA levels were 5.95 and 5.70 IU/mL for moderately and severely liver dysfunction subjects assigned to SOF, respectively. The logarithmized (log10) mean baseline HCV RNA level in subjects with moderate liver dysfunction assigned to GS-0938 was 5.28 IU/mL.

 

よくできました。

字面だけを英語に変換するだけならMTで十分です。

でも、医学翻訳仕事では原文の他の部分や図表等を参考にしながら、和文原稿から逸脱しない範囲で真の情報を読み取ることが最重要です。これが最重要であり、かつ一番難しいのです。

20220120163140_20240414163201

上記の表の第1段階と第2段階です。MTが真の情報の読み取り、そして読み替えが出来るようになったら、人間翻訳者は不要になるでしょうが、現時点では程遠い。むしろ、不良対訳コーパスによって汚染され、機能不全へ向かっているように思えます。

 

2024年4月13日 (土)

和文原稿のpre-edit事例-7

[和文原稿]

全被験者の平均年齢は54.1歳(範囲;44.072.0歳)であった。被験者の大多数(80.0%)は男性で、ほとんどの被験者が白人(92.0%)であった。

 

上記の和文をDeepLに英訳してもらいます。

The mean age of all subjects was 54.1 years (range; 44.0-72.0 years). The majority of subjects (80.0%) were male and most subjects were Caucasian (92.0%).

 

特にpre-editする部分はないですね。

つまらないので、イートモ検索した結果をいくつか紹介します。

 

[平均年齢]。このような記述もあります。

20240409-175430_20240413151901

 

[ほとんど 被験者]。

[ほとんど 患者]でも検索してみてください。

20240413-151447

 

[白人]。

20240413-151658

 

用語ベースでおぼえても、医学翻訳仕事には無意味です。

かならず用語の前後、出来ればセンテンスベースでおぼえましょう。

 

2024年4月11日 (木)

和文原稿のpre-edit事例-6

[和文原稿]

両投与群に、年4回のウイルス耐性モニタリングを完了した被験者はいなかった(25例中24[96%]の被験者では、追跡不能となり年4回訪問を実施できなかった)。

 

上記の和文をDeepLに英訳させます。

No subjects in both treatment groups completed the quarterly viral resistance monitoring (24 of 25 subjects [96%] were lost to follow-up and did not make the quarterly visit).

 

大きな問題はないようです。

しいてあげれば、「両投与群に、」をもう少し明瞭に記述したいところです。

上記2投与どちらにおいて4ウイルス耐性モニタリング完了した被験者いなか2524[96%]被験者では追跡不能となり4訪問実施できなか。」

下線部のようにpre-editしました。

 

pre-editした和文をDeepLに再度英訳してもらいました。

No subjects in either of the above two treatment groups completed the quarterly viral resistance monitoring (24 of 25 subjects [96%] were unable to complete the quarterly visits due to lack of follow-up).

 

「追跡不能」の英訳がいまいち。

「追跡不能」も医薬翻訳では常識用語です。イートモで検索してみます。

51対訳と少ないので、全部、翻訳トレーニングするか、脳内インストールしましょう。

20240409-175430_20240411165401

 

No subjects in either of the above two treatment groups completed the quarterly viral resistance monitoring (24 of 25 subjects [96%] were unable to complete the quarterly visits due to loss to follow-up).

下線部のようにポストエディットして終わりです。

 

より以前の記事一覧

フォト

イートモ

  • イートモ8.1収録対訳数   70,165
    累積新規対訳数(4月29日) 9592
    医学翻訳の友 イートモ・トップ|なりた医学翻訳事務所
サイト内検索
ココログ最強検索 by 暴想

相互リンク